Zoomlion、AGRITECHNICA 2025で欧州市場向けハイエンドなグリーン・スマート農機を初披露 — ハイブリッド&コネクテッド時代の本格参入
中国の重機大手Zoomlion(ズームライオン)は、世界最大の農業技術展示会「AGRITECHNICA 2025」(ハノーバー、11月9日〜15日)で、欧州市場向けに設計したハイエンドなグリーン・スマート農業機械を初めて公開すると発表しました。会場ではハイブリッドトラクターや収穫機を含む9モデルが「オーロラグリーン」に彩られて展示され、同社は第5ホール(スタンドD37)で来場者を迎えます。
展示のポイント — 新エネルギー、スマート化、グローバルブランド強化
- 展示の柱は「新エネルギー」「新技術」「グローバルブランドの活性化」。とくに欧州の農業慣行と環境基準に合わせた新エネルギー機器が中心です。
- 高さ約4メートルにも及ぶ大型機が搬入され、同社のエンジニアリング力と持続可能性への取り組みを示しています。
- 注目技術として、Zoomlionは「HIDDプラットフォーム」を打ち出しています。プレスリリースでは「8つのコア技術で駆動される統合型ハイブリッド動力システム」としており、次世代スマート農機の基盤となるアーキテクチャです。
- ドイツの耕起・播種・施肥機器で長い歴史を持つ子会社RABEの技術も展示に組み込み、欧州仕様にカスタマイズされたソリューションを提示します。
HIDDプラットフォームとは何が期待できるか
プレスリリースで言及されているHIDDプラットフォームは具体的な技術の全容は限定的ですが、同種の「統合型ハイブリッド」アーキテクチャに期待される特徴を整理すると次の点が挙げられます。
- ハイブリッド動力による出力最適化と燃料消費の低減
- エネルギーマネジメント(回生ブレーキや電力配分)による効率向上
- 自動化・アシスト機能の組み込みによる作業精度と操作者の負担軽減
- テレマティクスやIoTを用いた接続性(遠隔監視、予防保守、データ分析)
- モジュール化による用途に応じた拡張性やメンテナンス性の向上
これらは欧州の作業体系・環境規制を視野に入れた上で、出力効率、エネルギー効率、操作者快適性の改善を目的にしていると同社は説明しています。
RABEの技術統合が意味するもの
Zoomlionは2020年にドイツのRABEを買収しており、RABEは耕起・播種・施肥分野での長い経験を持ちます。今回の展示では、RABEの伝統的なエンジニアリングとZoomlionのグローバルなR&D・製造力が融合した製品群が見られる点が注目されます。具体的には欧州の土壌条件や作業習慣、排出規制に合わせたカスタマイズが期待できます。
日本の営農法人・メーカーが注目すべきポイント
- 互換性・アタッチメント:既存の作業体系や実働で使う刃物・アタッチメントとの互換性を確認する必要があります。特にトラクターのPTO、三点リンク、電気・通信仕様は要チェックです。
- サービスと部品供給:海外メーカー導入での課題はアフターサービスと部品供給です。保証内容、現地(もしくは日本国内)でのメンテナンス拠点や代替部品の流通を確認してください。
- テレマティクスとデータ政策:接続性が進むとデータの取り扱い(保存場所、利用権、セキュリティ)が重要になります。データ連携・APIの互換性やデータ保護方針を必ず確認しましょう。
- 充電・エネルギーインフラ:ハイブリッド/電動化機の本格導入には、電力供給や充電インフラ、農場での運用スケジュールの見直しが必要です。
- 運転支援・自動化レベル:自動化や支援機能の実効性(現場環境での信頼性やメンテナンス負担)を実機で評価することが重要です。
展示会で直接確認すべき質問とデモ項目
- ハイブリッド動力の構成(内燃機関+電動機の動作モード、回生能力、燃費改善の目安)
- HIDDプラットフォームの「8つのコア技術」が具体的に何を指すか(例:パワーマネジメント、接続性、自動化など)
- 対応する作業・アタッチメント一覧と互換性の有無
- 遠隔監視・診断機能の実装範囲とデータ出力形式(APIや標準プロトコルの有無)
- 保証・保守体制(地域代理店の有無、部品供給のリードタイム)
- 実地デモ:負荷下での出力応答、燃費や電力消費の実測、オートガイダンスや作付け精度のデモ
農機メーカー・自治体の技術担当者への示唆
Zoomlionのようなグローバル資本が欧州市場向けのハイブリッド・スマート技術を投入する動きは、部品サプライチェーン、通信プラットフォーム、標準化の面で影響を及ぼす可能性があります。国内メーカーは連携や差別化戦略、自治体はインフラ整備や補助策の検討を進める好機になるでしょう。
最後に — AGRITECHNICAでの注目ブース情報
Zoomlionのブースはハノーバー展示場の第5ホール、スタンドD37で、11月9日〜15日に公開されます。実機を目で見て触れて、上記のような技術的・運用的な問いを直接投げかけることをおすすめします。欧州市場仕様の新エネルギー農機が日本の現場にどのような示唆を与えるか、実機を確認して自社の導入・連携戦略に活かしてください。
詳しい記事の内容はこちらから(引用元)
Zoomlion、AGRITECHNICA 2025でハイエンドなグリーン・スマート農業機械を展示 | Zoomlionのプレスリリース | 共同通信PRワイヤー
https://kyodonewsprwire.jp/release/202511038332
