Case IH、AI搭載の部品EC「mycnhstore」強化を発表 — Agritechnica 2025で段階的リリース

11月9日から15日にドイツ・ハノーファーで開催されるAgritechnica 2025に合わせ、Case IHは部品向け電子商取引プラットフォーム「mycnhstore.com」の機能強化を発表しました。今回のアップデートは最新の人工知能（AI）と機械学習（ML）技術を取り入れ、ユーザーが必要な部品をより速く、誤認なく選べるようにすることを目指しています。

写真で部品を特定——現場での部品特定がより簡単に

強化された機能の中心は「写真による部品検索」です。作業現場で機械の部品をスマートフォンで撮影すると、その画像をもとにオンラインカタログから該当部品を素早く特定できます。これにより、部品名称や型番が不明な状態でも正しい部品へ短時間で辿り着けるため、発注ミスや無駄な確認作業を削減できます。

段階的リリースと対応範囲

強化版mycnhstoreは段階的に展開されます。第1弾として、現行生産中のトラクター向け約20万点の部品がカバーされます。第2弾は2026年に収穫機（コンバインなど）を対象に拡張される予定です。Agritechnica会場では、Case IHブースでFarmall 100Aトラクターを使った検索ツールの実演が体験できます。

現場と販売店の両方を意識した設計

このシステムはCNH Parts & Serviceの社内チームが、製品・技術知見と最新のAI技術を融合して開発しました。農家や営農法人といった現場ユーザーだけでなく、ディーラー側の部品判定や受注処理の効率化も視野に入れている点が特徴です。CNHのパーツ＆サービス責任者であるYavuz Sikca氏は、「最新のAIとMLを活用することで、Case IHユーザーにより速い部品選定体験を提供し、稼働停止時間の短縮に貢献する」と述べています。

現場にとってのメリットと運用上のポイント

• 稼働停止時間の短縮：誤部品発注や探し回りを減らすことで、修理・復旧までの時間が短くなります。
• ディーラー連携の効率化：現場での写真送信→即特定→発注の流れがスムーズになり、受付・出荷業務の省力化が期待できます。
• 在庫管理の精度向上：頻繁に検索される部品データをもとに、現場の消耗品やスペア部品の適正在庫を検討しやすくなります。

一方で導入・運用時に留意すべき点もあります。

• 対応機種・部品の範囲確認：第1フェーズは現行トラクターの部品が中心のため、自社保有機の対象範囲を事前に確認する必要があります。
• 画像品質と撮影方法：誤認識を減らすには、撮影角度や照明、汚れの除去など基本的な撮影ルールを現場で共有することが重要です。
• 通信環境とオフライン対応：現場でのネット接続環境により検索のしやすさが変わるため、通信が不安定な地域での運用方法（例：事前撮影→オフィスで発注）を検討する必要があります。
• ディーラー・業務フローとの統合：既存の受発注システムや在庫管理システムとの連携仕様やAPI対応状況を確認すると、よりスムーズに運用できます。

日本の営農現場での活用イメージ

営農法人や集落営農の現場管理者にとって、mycnhstoreのAI検索は「フィールドでの迅速な判断」を支えるツールになります。特に繁忙期の急な故障対応や、遠隔地にある複数圃場を持つ経営体では、現場で即座に部品特定〜発注ができることは運転率向上に直結します。また、ドローンや無人トラクターなどスマート農機が増える中で、複合的な機械保守の負担軽減にも寄与する可能性があります。

導入に向けたアクション

• 所有するCase IH機の対応可否をディーラーに確認する。
• Agritechnicaやメーカーのデモ機会がある場合は実際に試して、検索精度や操作性を確認する。
• 社内で撮影ルールや発注フローを整備し、パイロット運用を小規模で開始する。
• ディーラーと連携し、在庫戦略や納期短縮の仕組みを協議する。

Case IHの新機能は、AIを活用して「部品がすぐわかる」ことを通じて現場の生産性向上を狙った施策です。日本でも対応機種が増えれば、営農現場やディーラーの業務効率化、稼働時間の最大化に役立つ可能性が高いと考えられます。詳しい情報や導入可否は、メーカーサイト（https://www.casece.com）やお近くのCase IHディーラーにお問い合わせください。