クボタ、2026年上期向け新商品を発表 — 一輪管理機「ウネマスターPro」、スマート対応コンバイン、改良型えだまめコンバインを投入
クボタ農機国内本部は2025年10月22日、2026年上期向けの新商品として、プロ向け一輪管理機「ウネマスターPro」シリーズ、スマート農機対応の普通形コンバイン「KRH450」、および改良型えだまめコンバイン「EDC1101」の3シリーズ5型式を発表しました。営農現場の省力化・効率化とスマート農業の実装を意識した改良が中心で、現場での使い勝手やデータ活用を重視した仕様になっています。
発表の全体像(ポイント)
- 一輪管理機「ウネマスターPro」:TS552N(4.2馬力)、TS752N(6.3馬力)、PC752N(6.3馬力)の3型式。安全基準対応と操作性向上が特徴。
- スマート農機対応 普通形コンバイン「KRH450」(45馬力):営農支援システム「KSAS」との連携を強化する直接通信ユニットを標準搭載し、ほ場ごとの収量見える化が可能。
- 改良型えだまめコンバイン「EDC1101」(20馬力):引抜・脱莢機構、土付着対応、暗所作業性などを改善し、幅広い品種・圃場条件に対応。
① 一輪管理機「ウネマスターPro」(TS552N / TS752N / PC752N)
概要:2020年発売のニューウネマスターをベースに、令和9年基準の安全性検査対応と操作性向上を施した新モデルです。プロの野菜農家や麦農家向けに、うね間管理作業の安心性と効率性を高めています。発売は2026年1月、価格帯はTS552NGが316,800円から、TS752NWCFGが441,100円までとなっています。
主な特長(現場で役立つ点)
- 後進高速自動けん制機構:ハンドル逆位置での高速発進を自動で抑止し、後退作業時の転倒や急発進リスクを低減します。
- 握りやすい主変速グリップ:滑りにくく長時間作業でも疲れにくいグリップを採用しています。
- スライド式防土カバー:取っ手付きスプリング式で切替えが簡単、土揚げ作業の効率化に貢献します。
- リモート操作式スタンド:手元でスタンドの出し入れが可能で、作業の中断が少なくなります。
- 本格2輪(W)仕様:左右バランスが良く安定した作業が可能。車輪幅は標準150mm(200mmへ入替可)で狭いうね間にも対応します。
- 麦ロータリ仕様:麦覆土専用ロータリカバーと覆土爪で、麦を傷めず繊細な覆土作業が行えます。
現場運用上の示唆
- 狭いうね間やマルチ栽培との併用を想定する圃場で高い効果が期待できます。
- 安全機能強化により、経験の浅いオペレータやパート作業者への教育負担が軽減されます。
- 導入時は交換部品・消耗品(カバー、ロータリ爪など)とメンテ頻度を確認することで稼働率を高めやすくなります。
② 普通形コンバイン「KRH450」(45馬力) — スマート農機対応
概要:小型クラスの普通形コンバインにKSAS(クボタの営農支援システム)との連携を強化する直接通信ユニットを標準搭載し、ほ場ごとの収量を見える化する収量センサ(J仕様)を組み合わせたモデルです。発売は2026年4月、価格はKRH450-CGが11,440,000円〜12,122,000円となっています。
主な特長と現場でのメリット
- 直接通信ユニット標準搭載:スマートフォン等を経由せずにKSASへ直接データ送信が可能で、通信の安定性と運用手間が軽減されます。自動日誌作成や「MY農機」で機械の状態確認が容易になります。
- 収量測定仕様(J仕様):グレンタンク下部のセンサで籾重量を計測し、キャビンのマルチナビに表示。収量データはKSASへ送信され、ほ場別の生産性分析や翌年の施肥・栽培計画に活用できます。
- 作物適合性・メンテ性向上:リアチャフの取付角度切替で高水分や倒伏株でも選別精度を確保。脱穀部にステンレスライナー採用で耐摩耗性向上、グレンタンクの点検口拡大で清掃性が向上しています。
導入効果と運用のポイント
- 収量データの取得は、施肥設計・品種選定・労務配分の根拠になります。特に営農法人や営農集落での圃場別管理に有効です。
- KSASとの連携で現場の「見える化」が進み、遠隔での機械管理や作業ログ管理が行いやすくなるため、管理負担軽減と労務最適化につながります。
- 導入前に通信環境(圃場の電波状況)とクラウド運用のルール(データ共有・保存)を確認するとスムーズに運用できます。
③ 改良型えだまめコンバイン「EDC1101」(20馬力)
概要:2021年発売のEDC1100をベースに、より多くの品種・地域・土壌条件に対応するために適合性を向上させたモデルです。発売は2026年6月で、価格はEDC1101-Cが6,665,000円、EDC1101-Tが6,972,900円です。
主な改良点と現場での利点
- 引抜ベルトの千鳥テンション方式:着莢位置が低い莢への損傷を大幅に低減し、選別品質を向上させます。
- フィードチェーン延長(200mm):草丈が長い品種でも脱莢部の詰まりを抑え、連続運転の安定性が高まります。
- 土付着作物対応の強化:土落としブレードキットを標準装備し、供給丸棒ガイドの関節化で土詰まりを抑制。根に土が付着しやすい圃場でも対応力が向上します。
- 暗所作業性の向上:照射角の広いLED作業灯と夜間作業灯キットを標準化し、早朝や薄暮での作業視認性を改善しています。
- マルチ栽培対応(オプション):マルチキットにより、マルチ栽培でも高精度な収穫が可能です。
導入のポイント
- 品種や収穫時期の分散がある営農形態で、機械化による省力化効果が高くなります。
- 土壌条件が重い圃場では土付着対策が標準化された本機が有利です。導入前に自圃場の土質や根の付着状況を確認すると最適設定が見えます。
- 夜間・早朝作業を想定する場合は照明や作業計画を合わせて検討すると稼働時間を最大化できます。
経営・現場目線での総評と導入アドバイス
今回のラインナップは「使いやすさ」と「データ活用」の両立を目指した改良が中心であり、特に以下の点が現場にとって重要です。
- 労働力不足対策:引抜・脱穀の自動化や安全機能により人手依存度を下げることが期待できます。
- データ駆動の営農:KRH450のKSAS連携と収量センサにより、ほ場別の実収量データを基にした次年度の施肥・作付計画が作りやすくなります。
- 運用コストとROI:各機の導入コストは中~高額帯ですが、労務削減・収量管理による長期的なROIが見込めます。補助金制度やリース、共同所有(営農組合での共有)も検討ポイントです。
導入前チェックリスト(実務的)
- 対象圃場の電波環境とKSAS連携の可否を確認する。
- 実運用を想定した試乗・デモをディーラーで実施し、操作性や清掃性を確認する。
- 消耗品・メンテナンス体制(部品供給、整備拠点)を前もって確認する。
- 収量データの扱い(誰がデータを管理し、どのように利活用するか)を組織内で決める。
今後の動きと問い合わせ
クボタの今回の発表は、スマート農機の普及と専門作物向け機械の適応範囲拡大を示すものであり、実地での運用が進めば営農のデジタル化・省力化が一層進みます。導入を検討する場合は、最寄りのクボタ販売店でデモ機の確認やKSASの導入支援、補助金申請の相談を行うことをおすすめします。
(問い合わせ先:クボタ農機の各販売店およびクボタ農機国内本部)
詳しい記事の内容はこちらから(引用元)
【クボタ】2026年上期向け新商品発表|スマート農機・枝豆コンバインなど3シリーズ5型式を公開│
https://www.nouson-n.com/media/2025/10/28/10292
