Fendt、LAMMA 2025で新世代トラクター4シリーズと先進技術を一挙公開 — 農作業効率化への示唆
ドイツの農機メーカーFendtが、英国の展示会LAMMA 2025に向けて新世代トラクターを一挙に披露します。注目は「700 Vario Gen7.1」をはじめとする4つの新世代シリーズと、車両の出力を状況に応じて引き上げる「DynamicPerformance」や、新型ドライブトレイン「VarioDrive」、そして稼働管理プラットフォーム「FendtONE」といった先進技術です。営農法人や集落営農、現場管理者の視点で、現場運用にどう役立つかを分かりやすく解説します。
今回の主な投入機種と主要スペック
- 700 Vario Gen7.1:720・722・724・726の各モデルをラインアップ。DynamicPerformanceにより全域で最大約+20hpの出力ブーストを実現し、700シリーズの出力帯は約203〜303hpに。724/726は最高速度60km/hで公道利用が可能になり、フィールドからロードワークへシームレスに移行できます。
- 800 Vario Gen5:新たに3モデルを追加し出力帯は約260〜343hp。DynamicPerformanceで約+23hpのブーストを付与。さらに新設計の単段式「Fendt VarioDrive」ドライブトレインを採用し、常時独立4輪駆動による最大の牽引力を提供、場内と道路でのギア切替を不要にしています。
- 500 Vario Gen4(英国は2026年導入予定、LAMMAでプレビュー):513・514・515・516の4モデルで134〜164hp。DynamicPerformanceで約+10hp。車重は約11.75トン、最大搭載荷重(ペイロード)4.9トンと軽量化と高積載性を両立し、前後のバラスト調整でドリル運用からグリーンハーベスト(草刈り、乾燥関連)まで用途の幅を広げます。
- 1000 Vario Gen4:最高クラスの車輪式トラクターで、1040〜1052の4モデルをラインナップ、出力は426〜550hp。
注目技術の解説と現場メリット
DynamicPerformance(出力ブースト)
作業負荷に応じてエンジン出力を一時的に増強する機能です。瞬間的なトルク要求が発生するロータリ作業や重負荷の圃場作業で余裕を生み、作業スピード維持や効率向上につながります。従来は最上位モデル限定だった機能が、ミドル〜上位帯へ拡大された点がポイントです。
VarioDrive(単段式ドライブトレイン/常時独立4WD)
フィールドとロードでのトランスファー操作やギア切替を省く設計で、走行中の駆動配分を最適化します。結果として牽引力が向上し、泥濘や傾斜地でのトラクション維持、移動時間短縮に寄与します。特に大型アタッチメントを頻繁に切り替える営農法人での時間効率化に有用です。
FendtONE(運用管理プラットフォーム)
機械群のコネクテッド運用を可能にするFendtの統合OSです。作業グループの統合管理、作業モニタリングとレポート、ウェイラインや施肥・散布のアプリケーションマップの無線共有などをサポートします。データ連携により、機械の稼働最適化や作業履歴の証跡化が進みます。LAMMAでは技術体験ゾーンが設けられ、現場での具体的な活用イメージを掴めます。
バラ・コンバイン等の更新
- Rotanaバレスター:半自動のネット→フィルム梱包機能や、バール排出を監視するカメラを搭載。省力化と仕上がり管理が向上します。
- MY26 IDEALコンバイン:FendtのCyclonePlusクリーニング、1.0m²のプリシーブ用コンケーブ、新設計の上段コンケーブを搭載。傾斜地向けの改良キットで山間斜面や不整地での脱穀・清掃性能が改善されています。
実務的なインパクトと導入時の検討ポイント
これらの進化は単なる出力増大に留まらず、作業効率、タイムマネジメント、データドリブンな営農へと直結します。具体的には:
- より少ない往復・短時間で作業を終えられるため、燃料効率と時間当たりの投入コストが改善されます。
- 60km/h対応モデルの導入により公道移動が速くなり、複数拠点を持つ営農形態での作業ローテーションがしやすくなります。
- FendtONEによるデータ共有はトラクター・アタッチメント・圃場データの一元管理を可能にし、施肥や種まきの精度向上や記録管理の省力化に役立ちます。
- 重機の牽引性能やペイロード向上は、大型アタッチメントを多用する営農法人に特にメリットがあります。
導入検討時には以下を確認することをおすすめします:
- 自社の主要作業プロファイル(畑作・作付け面積・移動距離・アタッチメント構成)と新機能の適合性を評価する。
- FendtONEやテレマティクスの既存システムとの連携可否、データフォーマットと運用フローの整備。
- サービスネットワークやスペアパーツ供給体制、メンテナンス契約の内容。
- 経済性試算(燃費・作業時間短縮・稼働率向上によるROI)。
- 操作者の研修や運行管理者のIT教育計画。
最後に — LAMMA 2025での展示は実務判断の好機
Fendtは単に大出力機を並べるだけでなく、機械の実働効率を高めるソフトウェアと通信技術を明確に打ち出しています。LAMMA 2025では実機とFendtONEの体験ができるため、現場での感触を確かめる絶好の機会です。営農管理者や技術担当者は、実際の圃場条件での挙動確認、アタッチメントとの適合性、操作性、そしてデータワークフローの確認を優先して訪問すると導入判断がしやすくなります。
Fendtの発表は、スマート農業(アグリテック)と機械性能の両輪で生産性向上を目指す動きの一端です。特に大規模営農や作業の多様化・複数拠点運営を行う組織では、今回の新機種群とFendtONEの組合せが運用効率を大きく改善する可能性があります。LAMMA会場でのデモに注目し、自社への取り込みを検討してみてください。
詳しい記事の内容はこちらから(引用元)
endt、LAMMA 2025で新世代トラクター4シリーズと先進技術を一挙公開 — 農作業効率化への示唆
https://www.agritechmag.com/news/103679-fendt-unveils-four-new-tractor-generations-and-advanced-tech
