Case IH、Agribex 2025で「精密性」と「現場適応力」を強化した最新機種群を披露
ベルギーの農業見本市Agribex 2025(12月3〜7日)で、Case IHが改良を加えたトラクターやハンドラ、ロールベーラーなどの最新ソリューションを公開しました。注目は、100〜117馬力クラスの新しいFarmall Cシリーズの欧州初公開と、回転半径や乗り心地、土壌保全性を意識した新世代Pumaシリーズの展示です。精密農業技術や荷役作業の効率化、根菜類に適した車輪構成といった現場の要望に応える内容が揃っています。
Farmall C(100–117hp)──「現場で使いやすい」ユーティリティの再定義
Farmall Cレンジの刷新は、主に以下の点で現場運用の利便性を高めています。
- トランスミッションの選択肢拡大:従来の24F/24R ActiveDrive 2に加え、12F/12RのManualDriveを電子パワーシャトルで制御する仕様を追加。クラッチを踏まずに前後進を切り替えられるため、ローダー作業や畦間作業での疲労軽減につながります。さらに、クリープ速度を追加して20F/20R相当の低速運転も可能にできます。
- ActiveClutch機能:ブレーキ操作で駆動を自動的に切り離す“ブレーキ→クラッチ”動作を導入。ローダー作業時のギクシャクを抑え、操作者の負担を減らします。
- 工場装着ローダーの標準化:L635機械式セルフレベリングローダーを工場出荷時に装着可能。最大リフト能力は2.0トン、最大リーチは3.8メートルで、純正統合システムとして安定した性能を期待できます(サードパーティ品との差別化ポイント)。
こうした改良は、小規模〜中規模の営農法人や集落営農で求められる「ローダー効率」「簡便操作」「機器間の整合性」を直接的に改善するため、導入を検討する現場にとって即戦力になる設計と言えます。
Pumaシリーズ──回転性・乗り心地・根菜圃場への配慮
Pumaの最新世代は、185馬力のPuma 185を中心に、前軸サスペンションや制動系、トランスミッション、強化された三点リンクといった機構改善で「曲がりやすさ」「安定性」「作業性能」を高めています。混合営農(畑+畜産)で多様な作業をこなす現場に向いています。
さらに、根菜類向けの展示としてPuma 220に二列のナロータイヤと専用タイヤ、及び中央式タイヤ空気圧調整システム(CTIS)を装着した実演がありました。狭い列間での土壌圧縮を抑えつつトラクションを確保する構成で、ビートやジャガイモなど土壌ダメージに敏感な作物での実運用を想定しています。
ハンドラ&バイエル:現場の省スペース化と高密度ロールの両立
- Farmlift 626テレスコピックハンドラ:全高6.0メートルで最大2.6トンのリフト能力を持ち、スペースが限られる混合農場での荷役や換気作業に適しています。コンパクトな代替機として現場の取り回しを改善します。
- RB456 Rotor Cutter可変チェンバーロールベーラー:最大1.65メートル径のロールが形成可能で、13または25枚のナイフオプションによりカット長と密度を制御できます。収穫物の高密度化と安定した切断性能は、飼料保存の効率化に寄与します。
精密農業と人材育成への取り組み
Case IHブースでは単に機械を並べるだけでなく、精密農業技術を強調する展示が行われています。現場での自動操舵やテレマティクス連携、機器の工場オプション化による整合性向上といった点は、ドローンやセンシングとの連携を検討する営農法人にとって重要なポイントです。導入検討時は、既存のガイダンスシステムやISOBUS機器との互換性、リモート管理やデータ連携の可否を販売店に確認することをおすすめします。
また、女性技術者・経営者を支援する「Ladies’ Day」の開催や、学生向けの実習機材提供を行うWorkshop Liveへの支援など、業界の裾野拡大と次世代人材育成にも力を入れています。現場技術の継承と多様化推進は、機械導入と同様に中長期的な農場経営の安定へつながります。
導入に向けた現場視点のチェックポイント
- 作業内容と馬力帯の整合性:Farmall Cは100〜117hp帯でローダー作業や軽作業に適し、Pumaはより高馬力で広範なアタッチメントに対応します。
- トランスミッションと操作性:電子パワーシャトルやActiveClutchなど、実作業における疲労低減・精度向上の効果を試乗で確認してください。
- 土壌保全対策:根菜類を扱う場合はナロータイヤやタイヤ空気圧調整システムの効果を現場条件で比較検討してください。
- 精密農業の互換性:既存のガイダンス、テレマティクス、ISOBUS機器との接続性を販売店と確認し、将来的なデータ活用方針も合わせて検討してください。
- 人材育成・サポート:操作教育や整備支援の体制が整っている販売店を選ぶことが、稼働率向上に直結します。
Agribexでの展示内容は、現場に直結する改善点を明確に打ち出しています。導入を検討する際は、実機の試乗や作業デモ、販売店との仕様すり合わせを重ね、投資対効果と日常の運用負担軽減の両面から判断することをおすすめします。詳しい情報はCase IHの公式サイトでも確認できます(https://www.caseih.com)。
詳しい記事の内容はこちらから(引用元)
Case IH、Agribex 2025で「精密性」と「現場適応力」を強化した最新機種群を披露
https://www.agritechmag.com/news/103828-how-case-ih-differentiates-its-latest-farm-technology-at-agribex-2025
