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New Holland、Agribex 2025で最新トラクタとスマート収穫技術を披露 — 生産性向上と作業負担軽減を狙う新製品群





New Holland、Agribex 2025で最新トラクタとスマート収穫技術を披露 — 生産性向上と作業負担軽減を狙う新製品群

New Holland、Agribex 2025で最新トラクタとスマート収穫技術を披露 — 生産性向上と作業負担軽減を狙う新製品群

農業機械の世界的ブランド、New Holland(ニューホランド)は、ベルギー・ブリュッセルで開催されるAgribex 2025(会期:2025年12月3日〜7日、Hall 6 スタンド6100)で、多彩なトラクタ、コンバイン、ローダー、フォアージュ機械、そして精密農業向けのデジタルツール群を展示します。出展の狙いは「作業負担の軽減」と「生産性の最大化」。ここでは、注目製品と日本の営農現場での活用ポイントをわかりやすく解説します。

目次

注目の新世代トラクタ:T7シリーズと操作性・燃費の最適化

目玉は新しいT7シリーズのうち、180〜225馬力レンジのT7.225です。キャブを一新して操作子(アームレスト・インターフェース)を改良し、長時間作業での疲労軽減を図っています。フロントアクスルは標準型と重荷重型を選択可能で、二重蓄圧器を用いたサスペンションのオプションにより、応答性と乗り心地を向上させています。移動時にはサスペンション動作をロックするロールコントロール機能で挙動を安定させられます。

旋回性能も強化され、旋回円径が17%短縮され11.4メートルとなり、圃場や作業場での取り回しが向上します。トランスミッションは用途や好みに応じて選べることが特徴で、以下の3種類をラインナップしています。

  • 新設計の3×1レンジ Auto Command(CVT)
  • Double Clutch Technologyを採用したDynamic Command(セミパワーシフト)
  • 実績あるRange Command(セミパワーシフト)

これにより、燃費効率・作業効率・牽引力のバランスを作業内容に合わせて最適化できます。

専門作物向けトラクタ:T4Fシリーズの高効率化

専門作物向けのT4Fシリーズからは、T4F.120F Auto Commandが出展されます。本機は「Tractor of the Year 2026(Best of Specialized)」を受賞したモデルで、同セグメントで初めてとなる50km/hのEcoモードを持つCVTを採用しています。油圧性能も優れており、115リットル/分のCCLS(Closed Center Load Sensing)油圧で高負荷の作業にも対応します。工場装着のテレマティクスや、オプションのSuperSteerフロントアクスルにより、狭い圃場や特殊作物での機動性を高められます。

大容量コンバインとバリューチェーンを支える機構

収穫機では、ベルギー・Zedelgem工場製のフラッグシップ2機種を展示します。

  • CR11 Twin-Rotor:業界トップクラスの処理能力を誇り、20,000リットルの大容量グレインタンクと8.76m²の分離面積を備えています。大規模圃場での連続作業に向きます。
  • CX8.90 PLMi:Farm Machine 2026のコンバイン部門受賞機。6本のストロウウォーカーと5.93m²の分離面積を持ち、多様な作物条件で安定した脱穀・分離性能を発揮します。

併せて、Roll-Belt 180 Plus CropCutterバイラーも改良版を展示します。可変チャンバー技術、強化された主要コンポーネント、ISOBUS対応のタッチスクリーン制御を導入しており、バリューチェーン全体の効率化を図れます。

フォアージュ機械・ローダー:リアルタイム情報と高出力化

フォアージュ作業向けには、リアルタイムの収穫インサイトを提供する「ForageCam」が注目製品として展示されます。これは収穫時の品質・収量判定や作業最適化に役立ち、複数のイノベーション賞を受賞しています。

ローダーでは下記がラインナップされます。

  • W170D+ Forage Power:運転質量16.4トン、最大トルク1,300Nm、ピーク出力255hp、ヒンジピン高さ4.54mで高処理能力を実現します。
  • W100D:112hp、定格荷重6,679kgで現場での汎用性が高いモデルです。
  • C314X(プロトタイプ):電動ミニキャタローダーで、23.5kWhバッテリーを搭載し、460kgを2.2mまで持ち上げられる性能を持つプロトタイプです。屋内作業や排出規制の厳しい現場に向く可能性があります。

精密農業とデジタル連携:FieldOps、Raven、FleetPro

展示スペースの大きな柱となるのが精密農業ソリューションです。Ravenの最新技術とNew Holland FieldOpsプラットフォームにより、混在する車両群や農業データを一元管理できます。これにより、以下の利点が得られます。

  • 異なるブランド・年代の機械を含む混在フリートの統合的運用管理
  • 作業ログ、燃料消費、施肥・散布履歴などのデータ中央管理による意思決定支援
  • 現場からクラウドへリアルタイム送信し、迅速な対応とトレーサビリティ確保

また、New Holland Intelligenceと称するハードウェア群や、FleetProという認定パーツ&消耗品ラインを通じて、保証切れや旧型機の維持コストを抑えつつ最新の精密機能を使えるルートを提供しています。これにより、既存設備を活かした段階的なデジタル化投資が可能になります。

日本の営農現場でのポイントと導入検討チェックリスト

これらの先端機は大いに魅力的ですが、日本の営農現場で導入を検討する際には以下の点を確認すると実用性を見極めやすくなります。

  • 作業内容と馬力の整合性:圃場面積、作物種、耕うん・整地頻度に応じてT7/T4Fのどちらが最適かを評価します。
  • 油圧容量・バルク機器対応:115 l/minなどの高流量油圧が必要な作業(大容量アタッチメント、バンディング等)に対応できるか。
  • 旋回性能と幅員:圃場の畦幅や作業道に合わせて旋回円径や全幅が適合するかを確認します。
  • トランスミッションと燃費:CVT(Auto Command)やセミパワーシフトの燃費・レスポンス特性を試乗で確認します。
  • テレマティクス・ISOBUS互換性:既存の機械やタスクコントローラとの連携、通信環境(圃場での通信の安定性)をチェックします。
  • アフターサービスと部品供給:輸入機の場合はサービス網やFleetProによる代替部品供給体制を事前に確認します。
  • 電動化の適合性:C314Xのような電動機は充電環境、稼働時間、寒冷地での性能低下などの運用条件を考慮します。

現場管理者への実務的アドバイス

導入前には必ずデモ機による現地試運転を実施し、下記を確認してください。

  1. 実作業(耕うん、牽引、積込み、バンディングなど)での加速・トルク・油圧安定性
  2. キャブ内の視認性、操作性、長時間稼働時の疲労感
  3. 収穫機の場合は排出サイクル、粒タンク満杯時の安定性、搬送・荷下ろしの実運用
  4. テレマティクスのログ精度とFieldOpsへのデータ反映の速さ
  5. 保守点検頻度と、現地で交換可能な消耗部品の入手性

まとめ:段階的なスマート化と既存資産の活用が鍵

New HollandのAgribex 2025出展は、高出力・高能率の機械群と、現場運用を支えるデジタル基盤の両輪を示しています。大規模営農法人ではCR11のような大容量コンバインで収穫時間を大幅短縮でき、中小規模や特殊作物の現場ではT4Fやスーパーな旋回性能が威力を発揮します。既存機の延命と精密化を図るFleetProやFieldOpsは、日本の現場でも段階的なIT導入を進める際の現実的な選択肢になります。

Agribex 2025(ブリュッセル、Hall 6 スタンド6100、12月3日〜7日)での展示は現地で直接機体・操作性を確認する絶好の機会です。導入を検討する経営者・現場管理者の方は、デモやテレマティクス連携の確認、アフターサービス体制のヒアリングを重視して比較検討されることをおすすめします。

(参考)New Holland公式サイト:www.newholland.com


詳しい記事の内容はこちらから(引用元)

New Holland、Agribex 2025で最新トラクタとスマート収穫技術を披露 — 生産性向上と作業負担軽減を狙う新製品群
https://www.agritechmag.com/news/103869-new-holland-unveils-advanced-tractors-and-smart-harvesting-tech-at-agribex

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