MENU

Zoomlion、AGRITECHNICA 2025でハイブリッド×スマート農業を披露 — 大規模営農に向けた実用性と自動化の潮流





Zoomlion、AGRITECHNICA 2025でハイブリッド×スマート農業を披露 — 大規模営農に向けた実用性と自動化の潮流

Zoomlion、AGRITECHNICA 2025でハイブリッド×スマート農業を披露 — 大規模営農に向けた実用性と自動化の潮流

中国の重工業メーカー、Zoomlion(中联重科)がAGRITECHNICA 2025に出展し、ハイブリッド化と知能化を組み合わせた最新の農業機械群を公開しました。会場ではトラクターやコンバインを含む9点の展示を通じて、「ハイエンド」「国際化」「新エネルギー」を掲げる戦略を打ち出し、現場での省エネ・作業効率向上と自動化の実現を強調しました。

目次

出展のハイライト:機種と要点

主な出展機は以下の通りです。

  • ハイブリッドトラクター:DV3504(フラッグシップ)、DQ2604、DL1604 — 160〜350馬力レンジで、大規模営農向けに高出力と燃費改善、作業者の快適性を両立する設計です。
  • ハイブリッドコンバイン:H7-600E — 480馬力エンジン+11.55kWhバッテリーを搭載し、ピーク出力で600馬力超を実現する大型機です。
  • RABE(Zoomlionのドイツ子会社)製の高性能作業具:SUPER ALBATROS(インテリジェントプラウ)、PHOENIX T 600(耕うん機)、PANDION M 500(ディスクハロー)など。

注目の技術要素

展示・実演で強調された技術は次のとおりです。

  • MIDD分散型知能電動駆動システム:DV3504に採用。119kNの牽引力、毎分227リットルの油圧出力を確保しつつ、電動化による制御性と燃費性向上を図っています。
  • Zpilot Proによる自律作業:中国からライブ配信したDV3504の自律耕うんデモでは、センチメートル級精度の高精度測位とマルチセンサ融合により、最適経路生成、Xターンなど複雑な旋回操作を自動実行しました。
  • マルチビュー監視とクラウド統合:ドローン空撮、車両前後カメラ、車内ディスプレイ、クラウド管理プラットフォームの5視点を同期表示し、遠隔監督や運用管理に対応するエコシステムを示しました。
  • ハイブリッド大型コンバインの高効率化:H7-600Eは「作業効率+20%、操作者負担−30%、伝達系部品数−70%、信頼性+50%、エネルギー消費−30%」とする性能指標を提示しました。

現場への意味合い — 大規模営農で期待される効果

今回の製品群は、大規模な圃場での高出力作業と自律運転による省力化を狙った設計です。具体的な期待効果は以下のとおりです。

  • 燃料・エネルギー効率の改善:ハイブリッド化により燃費が向上し、稼働コスト低減が見込めます。H7-600Eの公表値ではエネルギー消費を約30%削減しています。
  • 作業効率と稼働率の向上:効率+20%の指標は、収穫期の時間短縮や作業日の最適化に直結します。
  • 省人化・熟練頼みの低減:自律耕うんや高精度走行により、オペレーターの負担が軽減され、熟練度に依存しない均質な作業が可能になります。
  • 機器信頼性の向上と保守最適化:伝達系の部品削減やシステム統合によって保守頻度や故障リスクの低減が期待されます。

ドローンやクラウドとの連携が示す運用像

ライブデモで示された「ドローン+車載カメラ+クラウド管理」の連携は、アグリテックの現場像を具体化します。ドローンによる圃場モニタリングで生育状況や地形を素早く把握し、そのデータを基に自律トラクターが最適経路で作業する、といったオペレーションは、営農法人や集落営農の規模拡大に寄与します。

導入にあたってのポイント(現場責任者向け)

実装を検討する際の実務的なチェックポイントを列挙します。

  • フィールド規模と運用サイクル:本機は大出力・高効率を前提に設計されています。小規模圃場では投資対効果が薄れるため、運用面のシミュレーションが必要です。
  • 充電・電源インフラと作業サイクル:ハイブリッドとはいえバッテリー搭載機は電源管理が重要です。バッテリー容量(例:H7-600Eは11.55kWh)と作業時間の整合性を確認してください。
  • 保守・部品供給体制:伝達系部品が削減されていても、電装系や制御ソフトのサポート体制が導入後の稼働を左右します。メーカーのアフターサービスや現地拠点の有無を確認してください。
  • 操作者の教育と安全管理:自律運転機能やモニタリングプラットフォームの運用には新たなスキルが必要です。試運転や研修プログラムの確保を推奨します。
  • データ連携とセキュリティ:クラウド統合による運用最適化のメリットを享受するには、通信環境とデータ管理(バックアップ、アクセス権限、GDPR等の規制対応)を整備する必要があります。

留意点と現実的な検証項目

展示で示された性能は魅力的ですが、導入検討時は実地試験が不可欠です。特に次の点は現場での検証が必要です。

  • 実稼働での燃費と稼働率:カタログ値と現場条件(地形、土壌、水分、負荷)での差を確認すること。
  • バッテリー容量と充放電サイクルの実効性:11.55kWhが示す持続時間と、ピークアシストの頻度・充電場所の運用を確認してください。
  • 自律走行の精度と安全性:センチメートル級の位置精度は魅力ですが、障害物回避や隣接作業との調整など安全運用ルールの整備が必要です。
  • 既存作業具との互換性:トラクターやコンバインを入れ替える場合、既存のアタッチメントや作業具が活用できるか確認してください。

まとめ:大規模化とスマート化の流れに向けて

Zoomlionの出展は、「大型機のハイブリッド化」と「自律・データ駆動の作業運用」を結び付けた提案であり、特に集約化・大規模化を進める営農法人にとって魅力的な選択肢を示しています。実運用での効果検証と、インフラ・保守・人材育成を組み合わせた計画的な導入が重要です。

まずはメーカーによるデモや現地試乗、短期のパイロット導入で実際のフィールドデータを取得し、ROI(投資回収)や運用体制を具体化することをおすすめします。ドローンや圃場センサーと組み合わせた運用で、より効率的で持続可能な営農が実現する可能性が高まります。

(取材・文/アグニュー編集部)


詳しい記事の内容はこちらから(引用元)

Zoomlion、AGRITECHNICA 2025でハイブリッド×スマート農業を披露 — 大規模営農に向けた実用性と自動化の潮流
https://www.agritechtomorrow.com/news/2025/11/11/zoomlion-highlights-smart-hybrid-farming-solutions-at-agritechnica-2025/17113/

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次