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韓国のAI農業ロボット企業、キュウリ自動収穫ロボットの実証を完了 写真枚 国際ニュース:AFPBB News

韓国MetaFarmersがキュウリ自動収穫ロボットの実証を完了──温室・垂直農場にも適用可能な「Omni Farmer」へ前進

韓国のAI農業ロボット企業、MetaFarmersがロボット産業振興院の支援を受けた「規制革新ロボット実証事業・キュウリロボット開発および実証プロジェクト」を完了したと発表しました。2024年3月に着手した本プロジェクトでは、「収穫成功率99%のグリッパー」を目標に、AIビジョンとグリッパーを統合した自動収穫システムの現場実装を進めてきました。今回の実証により、商用化が難しいとされてきたキュウリの自動収穫技術の現場適用可能性を確認したと報じられています。

目次

なぜキュウリの自動収穫は難しいのか

キュウリは形状が細長く、葉やつるに隠れやすい上に、取り扱いを誤ると表面に傷がつきやすいという特徴があります。こうした要因は自動収穫機の認識・把持・収穫工程にとって大きな障害となります。特に温室や垂直農場では生育密度や照明条件が異なり、センシングと把持の安定性確保がより難しくなります。

MetaFarmersが取り組んだ技術的要点

  • AIビジョン(ビジュアルサーボイング)を基盤にした果実認識:多重物体認識アルゴリズムで複雑な枝葉の中から果実の位置を特定する技術を採用しています。
  • グリッパー設計と把持方式:果実を損傷しにくい把持方法の検証を繰り返し、商品性を維持できる構造を追求しています。
  • デジタルツインの活用:キュウリの生育データをもとに現場環境に適応するためのシミュレーションを行い、認識精度・収穫戦略を最適化しています。
  • 単一プラットフォームの汎用化:多目的農作業ロボット「Omni Farmer」は、グリッパーを交換するだけで収穫・受粉・選別・予察など複数作業に対応可能を目指しています。

現場検証のポイントと成果

MetaFarmersのハードウェアチームは実験圃場において繰り返しテストを行い、果実へのダメージを最小化する把持・収穫方式を検証しました。報道によれば、現場適用可能性の確認に成功しており、同社はイチゴ向けフィジカルAIロボットも市場投入を控え、瑞山の大型スマートファームで実証を進めているということです。

MetaFarmersのイ・ギュファ代表は「キュウリ・リンゴ・葉物野菜など多様な作物に対応し、研究範囲を拡大することで、農業の生産性と持続可能性を高める技術革新を続けていく」と述べています。

営農現場がこの技術を評価・検討する際のチェックポイント

営農法人や集落営農、個人農家の現場責任者が実導入を検討する際に重要な点を挙げます。

  1. 導入目的とKPIの明確化:収穫成功率、損傷率、スループット(本数/時間)、人件費削減効果、ROI(投資回収期間)を定めておくことが重要です。
  2. 現場条件との適合性:温室の通路幅、設置高、電源・通信環境、栽培方法(棚栽培・垂直栽培など)との相性を確認してください。
  3. 作物特性の確認:品種ごとのサイズ・硬度・生育ばらつきが認識・把持に与える影響を評価します。必要であれば試験的なトライアルを短期間実施してください。
  4. 運用フローと保守体制:日常点検、消耗部品交換、ソフトウェアのアップデート体制、故障時のサポート体制をベンダーに確認してください。
  5. データ連携と管理:収穫・生育データを自社の生産管理システムやデジタルツインに連携できるかを確認すると長期的な効率化につながります。

導入に向けた実務的な進め方(提案)

  • まずはパイロット導入を短期間(数週間〜数ヶ月)で実施し、前述KPIを計測します。
  • 作業者と管理者向けの運用マニュアルとトレーニングをベンダーと共同で作成します。
  • 補助金・支援制度の活用を検討します。今回のような実証事業の事例は助成の参考になります。
  • 導入後はデータに基づく作物管理(施肥・灌水・剪定など)とロボット運用の連動を進め、トータルの生産性向上を図ります。

残る課題と今後の展望

技術的には認識精度、把持による微小な損傷防止、処理速度(人手と同等以上のスループット確保)、コスト低減が引き続きの課題です。また、ハードウェアの耐久性や保守コスト、現場作業者との役割分担の設計も重要になります。とはいえ、本件のようにデジタルツインや多重物体認識を組み合わせて現場実証をクリアしてきた点は、他作物への横展開や温室・垂直農場での実運用へ向けた大きな一歩です。

まとめ

MetaFarmersの実証は、AIとロボットを活用した収穫自動化がキュウリのような取り扱いが難しい作物でも現場適用可能であることを示しました。即座に全農家が導入すべきという段階ではありませんが、営農法人や技術担当者にとっては「具体的に評価・試験導入する価値のある技術」の一例になっています。興味がある現場は、まずはパイロット導入でKPIを設定し、ベンダーと協働して現場条件に合わせた適応性を確認することをおすすめします。

(出典:KOREA WAVE / AFPBB News)

詳しい記事の内容はこちらから(引用元)

韓国のAI農業ロボット企業、キュウリ自動収穫ロボットの実証を完了 写真枚 国際ニュース:AFPBB News
https://www.afpbb.com/articles/-/3610182

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