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埼玉県深谷市が取り組む「DEEP VALLEY Agritech Award 2025」、最終審査および表彰式を10月15日に開催 | 農業とITの未来メディア「SMART AGRI(スマートアグリ)」





深谷市「DEEP VALLEY Agritech Award 2025」最終審査は10月15日 — ファイナリスト6社の技術と現場への示唆

深谷市「DEEP VALLEY Agritech Award 2025」最終審査・表彰式を10月15日に開催 — ファイナリスト6社の技術をわかりやすく解説

埼玉県深谷市が主催するビジネスコンテスト「DEEP VALLEY Agritech Award 2025」の最終審査および表彰式が、2025年10月15日(水)に市役所で開催されます。本記事では今年のファイナリスト6社の提案内容を現場目線で解説し、農業経営者や技術担当者が注目すべきポイントを整理してお伝えします。

目次

「DEEP VALLEY Agritech Award」とは

「農業の未来が集まる場所へ」を掲げ、2019年から継続して行われている同アワードは、農業・食品分野に関わる課題解決のアイデアや技術を全国から募集して表彰する取り組みです。これまでに累計145社がエントリーし、5社への出資を実行。最優秀賞受賞企業を含む複数のスマート農業プロジェクトが国の支援の下、深谷市内で社会実装されるなど、具体的な成果を生んでいます。

2025年のテーマ:「農業×◯◯=未来」

今回は「農業×◯◯=未来」をテーマに、一次〜六次産業に至る幅広い領域の提案を募集。厳正な選考を経て、以下の6社がファイナリストに選ばれました。それぞれが深谷市という地域資源を活かしうる具体的な技術・サービスを掲げており、導入メリットや現場での課題解決の期待が高まります。

ファイナリスト6社の概要と現場への示唆

株式会社レボーン(東京都) — 匂いセンサーとクラウドで生産物に「香りの価値」を付与

レボーンが提案する「Smell Chain」は、匂いセンサーで香りをデータ化し、クラウドで生産〜流通〜消費まで一括管理する仕組みです。従来は人の嗅覚に依存していた香りの評価を定量化することで、品質管理や付加価値訴求に結び付けられます。

現場視点のポイント:芳香や鮮度が差別化要因となる作物(香味野菜、ハーブ、果樹等)で導入効果が大きく、消費者向けトレーサビリティやブランド化に直結します。センサー設置やデータ連携の手間、異物誤検知の精度、導入コストの回収シミュレーションが検討課題です。

サグリ株式会社(兵庫県) — 衛星+AIで深谷の土壌解析モデルを構築

サグリは衛星データとAI、独自の区画技術を組み合わせ、農地の見える化を推進します。深谷市専用の土壌解析モデルを作ることで、施肥最適化やコスト削減、環境負荷低減が期待されます。

現場視点のポイント:衛星ベースは広域管理に向き、JAや営農法人が営農指導や施肥計画の標準化を図る際に有効です。地上検体データとの連携で精度が上がるため、初期段階では試験区やセンサーネットワークとの併用が現実的です。

株式会社WAKU(岡山県) — グルタチオン資材で成長促進・高収益化を目指す

WAKUは植物の抗酸化物質「グルタチオン」を活用した資材で光合成促進や細胞活性化を図り、収量・品質向上や肥料削減を訴求します。特に酷暑対策としての有効性を打ち出しています。

現場視点のポイント:省資源で収穫量が上がれば営農収益に直結しますが、作物・栽培環境ごとの適用基準(散布タイミング、濃度など)と長期試験による安全性・効果検証が不可欠です。導入時は小区画での実証から始めるのが現実的です。

株式会社アイナックシステム(福岡県) — 局所土壌ヒーターで暖房コスト削減と収益性向上

工場自動化の技術を基盤とするアイナックシステムは、必要な箇所だけを温める局所土壌ヒーターを提案します。ハウス等での暖房コストを抑えつつ収量を確保するソリューションです。

現場視点のポイント:燃料コストやエネルギー効率が課題となっている冬季・早出し栽培での導入効果が期待されます。設置工事や運用の簡便さ、既存暖房設備との併用、補助金・助成の活用が導入判断の鍵になります。

株式会社エンドファイト(東京都) — DSE(内生菌)で生育促進とストレス耐性を向上

筑波大・茨城大発のエンドファイトは、植物内生菌(DSE)のライブラリを用いて生育促進や環境ストレス耐性向上を目指します。肥料・農薬コストの上昇や気候変動対応のソリューションとして期待されます。

現場視点のポイント:微生物資材は土壌・作物ごとに効果が異なるため、圃場別の試験が重要です。既存の土壌改良や施肥体系との相互作用確認、効果の定量評価(収量・品質・ストレス試験)が導入前の必須プロセスです。

株式会社きゅうりトマトなすび(東京都) — 生成AIと現場知見を統合した「深谷AI」

東京大学発の同社は、生成AIと現場データを融合させた「深谷AI」構想を提示。施設園芸や産地全体の意思決定支援、異常検知、作業効率化など幅広い応用を目指します。

現場視点のポイント:生成AIは未整理データや記録の価値を引き出す強力な手段ですが、現場の業務フローへの組み込み、データ収集・整備、説明可能性(説明性AI)の確保が不可欠です。現場担当者の使いやすさを重視したUI設計や、段階的な運用導入が成功の鍵です。

最終審査・表彰式の概要(参加情報)

日時:2025年10月15日(水)12:30開場、13:00〜16:30に最終審査(EF polymer社による事業進捗報告含む)、16:30〜17:30表彰式、17:30〜18:30名刺交換会・展示見学が行われます。会場は深谷市役所本庁舎3階大会議室です。

協賛:株式会社シタラ興産、株式会社埼玉りそな銀行、神鋼鋼線工業株式会社。後援には農林水産省、内閣府、総務省、経済産業省、埼玉県、埼玉りそな銀行、一般社団法人ベンチャーキャピタル協会、ジェトロ埼玉などが名を連ねています。

現場担当者に向けた注目ポイント(導入検討の観点)

  • 費用対効果(ROI):導入コスト、運用コスト、見込み増収・削減コストを試算し、目に見える数字で比較することが重要です。
  • 現場適応性:既存の設備や栽培体系との相性、作業フローへの影響(人手の増減)を現場レベルで検証してください。
  • データ連携・標準化:衛星データやセンサー出力など、新しいデータを使う場合はフォーマットや連携先を明確にしておくと運用がスムーズです。
  • 実証フェーズの設計:小区画での試験→成功指標の設定→拡大導入という段階的アプローチがリスクを低減します。
  • 補助金・支援の活用:国・県・自治体や民間の補助金を活用することで初期投資の負担を軽減できます。

詳細・参加方法

イベントの詳細やファイナリスト紹介は特設サイトで公開されています。参加や展示内容の確認は下記をご参照ください。

DEEP VALLEY Agritech Award 特設サイト
ファイナリスト紹介ページ

おわりに

深谷市の取り組みは、地域の産業資源と先端技術を掛け合わせて「儲かる農業都市」を目指す良い事例です。本アワードからは、技術の社会実装や産地全体の変革につながるプロジェクトが生まれており、営農法人や現場管理者にとって具体的な示唆が得られる場になっています。10月15日の最終審査・表彰式は、最新テクノロジーの導入可能性や実装ノウハウを直接確認できる貴重な機会ですので、関係者はぜひ情報をチェックしてください。


詳しい記事の内容はこちらから(引用元)

埼玉県深谷市が取り組む「DEEP VALLEY Agritech Award 2025」、最終審査および表彰式を10月15日に開催 | 農業とITの未来メディア「SMART AGRI(スマートアグリ)」
https://smartagri-jp.com/smartagri/12445

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