吉野家ファーム福島がスマート農業の国認定を受ける 福島県内で2例目、収量センサー付きコンバインの稼働拡大を計画
東北農政局は7日、水稲栽培にスマート農業技術を取り入れる「生産方式革新実施計画」が国から認定された吉野家ファーム福島(白河市)に認定証を授与しました。県内での認定交付は2例目となります。授与式は白河市で行われ、本県担当の松井章房地方参事官が滝田国男専務に認定証を手渡しました。滝田専務は「スマート農業を活用して、地域の農業の維持、発展に貢献したい」と決意を述べています。
認定の概要と吉野家ファーム福島の計画内容
今回認定された「生産方式革新実施計画」は、国がスマート農業導入を支援する枠組みで、昨年10月に開始されました。認定を受けると税制上の優遇措置などが受けられるため、導入負担の軽減につながります。
吉野家ファーム福島の計画では主に次の取り組みを掲げています。
- 新品種の導入による品種構成の見直しと作期分散(作付・収穫時期をずらすことで作業ピークの平準化を図る)
- 収量センサー付きコンバインの稼働面積を拡大し、収量データの取得と稼働効率の向上を推進する
- 上記により労働生産性の向上と地域農業の維持・発展を目指す
なぜ「新品種+作期分散+収量センサー付きコンバイン」が有効なのか
今回の組み合わせは、現場の課題に対して実効性の高い対策と言えます。ポイントを整理します。
- 新品種と作期分散:収穫期を分散させることで、収穫・運搬・乾燥などの作業負荷のピークを抑え、限られた人手や機械を効率的に配分できます。高温や長雨など気象リスクの分散にも寄与します。
- 収量センサー付きコンバインの拡大導入:コンバインに搭載された収量センサーで区画ごとの収量データを自動取得できます。これにより、圃場のばらつき把握、肥培管理の微調整、機械運用の最適化が可能になります。生データを蓄積すれば、翌年以降の作付けや資材投入の合理化にもつながります。
- 労働生産性向上:作期分散で作業負荷を平準化し、収量データで作業の精度を高めることで、単位面積当たりの投入労力を削減できます。人手不足対策として即効性のある取り組みです。
現場で注意すべきポイント(経営者・現場管理者向け実務アドバイス)
導入を検討する際は、次の点を事前に整理しておくとスムーズに進みます。
- 明確な目標指標の設定:面積(ha)、収量(kg/ha)、労働時間(人時/ha)、機械稼働率などのKPIを決め、導入前後で比較できるようにします。
- データ連携の設計:収量センサーのデータをどう集約・保管・解析するかを決めます。既存の営農管理ソフトやクラウドサービスとの互換性を確認してください。
- 機械とオペレーションの整合:収量センサー付きコンバインの増加に伴い、乾燥・貯蔵の能力、運搬体制も見直す必要があります。ピーク時の作業フローをシミュレーションしておくと安心です。
- 試験区の設定と段階導入:いきなり全圃場を切り替えるのではなく、試験区で新品種の挙動やセンサーの精度、作期分散の効果を検証するとリスクが低くなります。
- 従業員教育と安全管理:新しい機器や作業計画には習熟が必要です。操作訓練やデータの読み方、緊急時の対応ルールを整備してください。
行政支援と認定の活用法
「生産方式革新実施計画」の認定を受けることで税制上の優遇などの支援が受けられます。申請や計画作成の際は、東北農政局や県の農業担当窓口、JAなどと連携して、必要書類や計画の整合性を確認してください。早めに相談窓口に当たることで、補助金や税制措置の活用可能性を高められます。
まとめ:地域農業のモデルとなる取り組みへ
吉野家ファーム福島の計画は、機械化とデータ利活用を組み合わせて作業ピークの軽減と生産性向上を同時に目指す良い事例です。特に営農法人や集落営農のようにまとまった面積を管理する組織にとって、品種構成の見直しと収量センサーの活用は即効性のある戦略になります。
他の農業経営者や技術担当者は、今回の事例を参考に自社の作付計画、機械投資、データ戦略を再点検し、必要に応じて行政窓口へ相談することをおすすめします。
(取材協力:東北農政局、吉野家ファーム福島、福島民友新聞社の報道)
詳しい記事の内容はこちらから(引用元)
吉野家ファーム福島にスマート農業認定証、東北農政局 福島県内2例目:地域ニュース:福島民友新聞社
https://www.minyu-net.com/news/detail/2025100808232441629
