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宮崎発のアグリテックスタートアップ「テラスマイル」、北海道で「資本提携」と「事業提携」の両面で拡大

宮崎発アグリテック「テラスマイル」、北海道で資本・事業提携を拡大 — RightARMと流通プラットフォーム「ジャスタウェイ」を本格展開

農業のデータ化と流通改革を掲げる宮崎のアグリテック企業、テラスマイル株式会社がシリーズBラウンドで総額1億円超の資金調達を実施し、北海道での事業拡大を本格化しています。出資には北洋銀行、北海道共創パートナーズ(北洋SDGs推進3号)、北海道銀行、北海道ベンチャーキャピタルが新たに参画。金融機関の人的資源やネットワークを用いた「資本提携」と「事業提携」の両面で、北海道の大規模農業圏にデータ駆動の農業経営と新しい流通インフラを導入していく狙いです。

目次

テラスマイルの提供価値:RightARMとジャスタウェイ

テラスマイルは経営管理クラウド「RightARM(ライトアーム)」で、営農データをクラウドに一元化し、収量予測や出荷タイミング、収益シミュレーションなど経営判断に必要な情報を提供しています。今回、流通プラットフォーム「ジャスタウェイ」を活用して、生産者と需要者をマッチングする取引モデルを拡大します。

  • RightARM:営農データの一元化・分析による計画的経営支援
  • ジャスタウェイ:収穫予測や栽培データに基づく「必要量・品質・価格」の登録→生産計画の最適化を実現

「ジャスタウェイ」は生産側と需要側が事前に条件をすり合わせ、過剰在庫や需要不足を減らすことを目指すプラットフォームです。特に北海道のような大面積・大規模生産地では、収穫量のばらつきや出荷時期のズレが流通上の大きな課題となるため、適合度が高い取り組みとなります。

北海道での具体的な取り組み

  • スマート農業共同体(SAc)との連携:米などの生産性向上、担い手育成を推進
  • 鷹栖町(たかすちょう)との連携:「オオカミの桃」トマトの加工支援を通じた新規就農支援
  • 道内農業法人との連携:200ヘクタール規模の農地を活用し、米などを大手流通へ安定供給

これらは単なる実証だけでなく、ジャスタウェイを用いた「実運用」を見据えた取り組みで、北海道全体の流通インフラ化を視野に入れています。

なぜ北海道なのか — 意義と狙い

北海道は農業産出額が約1.2兆円(全国シェア約14%)と国内最大級の農業地帯であり、大規模経営が多い点でデータ活用による効果が出やすい地域です。一方で、担い手不足、高齢化、気候変動による生産リスク、国際競争といった課題も顕在化しています。

テラスマイル側の狙いは明確です。大規模圃場の生産計画をデータで最適化し、安定した出荷量と品質を担保することで、流通側の要求に応える仕組みを確立すること。金融機関を通じた地域ネットワークを活用しながら導入のハードルを下げ、現場と流通をつなぐ“データ駆動の供給網”を作ろうとしています。

出資企業のコメント(要旨)

北洋銀行・石田竜士氏:北海道の農業は地域経済と食の安全保障の基盤。データとAIによる経営支援が地域農業の活力向上につながると期待し、資金と経営・技術面で支援する。

北海道ベンチャーキャピタル・渡邉博朗氏:RightARMやジャスタウェイは北海道が抱える高齢化や生産性課題の解決策の一つ。北海道銀行と連携し、資金面や多角的支援を行っていく。

現場にとってのメリットと留意点

営農法人や集落営農、個人経営でIT導入を検討されている皆さまにとって、今回の動きは次のような意味があります。

期待できるメリット

  • 計画生産の実現:収穫予測に合わせた栽培計画でロス削減・資源配分の最適化が可能になります。
  • 販路の安定化:事前に需要と条件を合わせることで、安定的な出荷先が確保できます。
  • 資金・事業面の支援:地域金融機関のネットワークを通じた資金調達や経営支援が受けられる可能性が高まります。
  • 加工品や付加価値化の促進:鷹栖町のトマト加工支援のように、一次産品以外の収益源開拓に結びつきます。

導入時の留意点

  • データの標準化と互換性:既存の作業記録や機械データ(ドローン・トラクター・コンバインのテレメトリ)との連携が鍵になります。APIやデータ形式の確認が必要です。
  • 通信インフラ:大規模圃場でのリアルタイムデータ活用には安定した通信環境が不可欠です。地域の通信状況を踏まえた設計が必要です。
  • 契約条件と品質基準:ジャスタウェイでの出荷条件(品質・規格・納期)の運用ルールを現場で取り決めておく必要があります。
  • 人材育成:データ解釈やクラウド運用の研修が導入初期の成功を左右します。テラスマイルは研修・講座提供も行っている点は活用メリットです。

農機メーカー・自治体・ベンダーへの示唆

農機メーカーや自治体の技術担当者にとっては、下記の点が実務上のポイントになります。

  • 機器との連携:トラクターやドローン、収量センサーなどのデータをRightARMへ取り込むためのインターフェース整備・標準化は協業余地が大きいです。
  • 地域支援策との整合:補助金や実証支援、アグリビジネス推進室など地方金融機関との連携プログラムを組むことで導入促進を図れます。
  • 安全性・データガバナンス:データの扱い、同意管理、匿名化などのルール作りを自治体レベルで支援すると導入が進みやすくなります。

短期〜中期の展望

短期的には北海道内での実運用の拡大と、主要流通への安定供給の実績構築が期待されます。中期的には、RightARMとジャスタウェイを組み合わせた「データ駆動型の受発注ネットワーク」が形になり、全国の大規模圃場や地域ブランドの流通構造に影響を与える可能性があります。

一方で、導入の速度や範囲は通信インフラ、現場のデジタルリテラシー、既存流通との調整如何で変わります。地域の金融機関や自治体、農機メーカーなどの連携が成功の鍵を握ります。

現場へのアドバイス(すぐできること)

  • まずはパイロット圃場での試験導入を検討する:小規模な区画でRightARMとジャスタウェイを試し、出荷計画と実績の差分を検証してください。
  • 機器データの可視化準備:すでに導入済みのドローンや自動操舵トラクターがある場合は、データ出力形式の確認とエクスポート手順を整理してください。
  • 金融機関やJAと早めに対話:資金面・販路面での支援を見据え、北洋銀行や北海道銀行のような地域金融機関と連携窓口を作っておくと導入がスムーズです。
  • 従業員・後継者向けの研修計画を立てる:データ活用のための習熟は短期的な投資効果を左右します。テラスマイルの研修活用も検討してください。

まとめ

テラスマイルの北海道での資本・事業提携は、単なる資金調達にとどまらず、地域金融機関や道内プレイヤーと連携した「現場に根ざすデジタル化」と「流通の構造改革」を同時に進める試みです。営農法人や集落営農の経営者、農機メーカー、自治体担当者にとっては、実務レベルでの協業機会と導入上の課題が見える化された重要な動きと言えます。

テラスマイルは公式サイトでRightARMやジャスタウェイの情報を公開しています。詳細や導入相談は下記をご確認ください。
テラスマイル公式ウェブサイト / RightARMのページ

詳しい記事の内容はこちらから(引用元)

宮崎発のアグリテックスタートアップ「テラスマイル」、北海道で「資本提携」と「事業提携」の両面で拡大
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000024.000055672.html

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