佐賀市農業委が市長に意見書提出 「稼ぐ農業」と担い手確保で具体策を要望
2025年9月29日、佐賀市農業委員会は坂井英隆市長に対し、農業振興に関する意見書を手渡しました。稼ぐ農業の確立や担い手確保を含む5項目について、現状の課題を報告しつつ、スマート農業導入支援や有害鳥獣対策など具体的な施策を求めています。
要望の背景:猛暑・資材高騰で厳しい経営環境
農業委の大園敏明会長は、近年の猛暑や資材・燃料価格の高騰が続き、農業経営が依然として厳しい状況にあると説明しています。また「令和のコメ騒動」を受けて、コメの正しい価値が消費者や関係者に認識されるよう、市が周知を強化することも求められました。
こうした外的要因に加え、担い手不足や高齢化は地域農業の継続性に直結する問題です。農業委からは、青年部組織が盟友不足で活動を停止した事例が報告され、若手確保の難しさが浮き彫りになっています。
有害鳥獣対策の現状と課題
有害鳥獣対策では、イノシシなどが学習して従来の方法では効果が薄れるケースや、高齢化により対策を継続することが困難になっている点が指摘されました。対策の継続性と効果を両立させることが求められています。
これに対し、坂井市長は「新しいチャレンジをしていくことで打開し、農業の発展につなげていきたい」と応じ、市担当者からはドローンを活用したイノシシの生息域調査を10月から着手する予定であると説明がありました。
注目ポイント:ドローン調査とスマート農業支援の可能性
今回の要望で注目すべき点は、スマート農業導入支援とドローンを活用した野生動物対策の明確な提起です。自治体が主体となって現地調査や支援を行うことで、現場の負担を軽減しつつ、データに基づく対策が進められる期待があります。
- ドローンによる生息域調査:上空・高解像度カメラや赤外線センサーで痕跡や生息状況を把握し、被害の発生源や侵入経路を特定できます。
- スマート農業の導入支援:自動操舵トラクター、精密な農薬散布ドローン、センシングによる生育管理などで省力化と生産性向上が見込めます。
- AI・データ解析の活用:被害予測モデルや効率的な防護配置の提案など、学習アルゴリズムを用いた継続的改善が可能です。
現場に向けた実務的アドバイス
営農法人や集落営農の経営者、現場責任者に向けて、今回の動きを踏まえた実務的な対応をいくつか提案します。
- 自治体の支援制度を早めに把握する:補助金や共同調査の枠組みが整う可能性があるため、情報収集を定期的に行ってください。
- 小さな実証事業から始める:ドローン調査や自動化機器は初期投資がかかるため、まずは試験導入で効果を検証することをおすすめします。
- 人材確保と育成計画を明確にする:若手の参入を促すための魅力ある仕事設計や、ICTスキル研修を組み込むことが重要です。
- 地域での連携を強化する:被害対策や機械の共同利用は費用対効果が高く、集落単位での取り組みが有効です。
- データ管理と権利関係を整理する:撮影データや生育データの扱いについて、自治体や参加者間でルールを定めておくと運用がスムーズになります。
自治体への期待と今後の展望
農業委の要望は、単なる支援要請にとどまらず、地域農業の持続性と competitiveness(競争力)を高めるための具体的な提案が含まれています。自治体がリーダーシップを取り、スマート農業と有害鳥獣対策を組み合わせた包括的な施策を進めることが、現場の不安を和らげる鍵になります。
佐賀市が予定するドローン調査の結果は、今後の対策立案や補助制度の設計にも反映される可能性が高く、同様の課題を抱える自治体や営農組織にとっても注目すべき先行事例となるでしょう。
詳しい記事の内容はこちらから(引用元)
稼ぐ農業の確立、担い手の確保で農業の発展を 佐賀市農業委員会が市長に要望 | 農漁業 | 佐賀県のニュース | 佐賀新聞
https://www.saga-s.co.jp/articles/-/1566160
