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ドローン、無人トラクター、品種改良、新農法…政府のコメ増産方針に備え農家も本気(産経新聞) – Yahoo!ニュース

政府の「コメ増産」方針で現場は本気導入へ ドローン・無人トラクター・品種改良が鍵に

産経新聞が報じた通り、半世紀以上続いた事実上の減反政策が終わり、政府がコメの増産に舵を切りました。水田政策の抜本的見直しは令和9年度(2027年度)からの実施が予定されており、人件費や資材価格の高騰という逆風の中で、実際に生産量を増やせるかは現場の取り組みにかかっています。既に農家や行政、JAの現場ではスマート農業や栽培法の工夫を通じて規模拡大の動きが加速しています。本稿では現状と注目技術、導入のポイントを分かりやすく解説します。

目次

要点の整理

  • 政府は長年の減反的運用を転換し、コメの増産方針を明確化。政策の制度面での見直しは令和9年度から実施予定です。
  • 農家は既に動き出しており、作付面積を拡大する事例(例:福島の農業法人が主食用作付を昨年の1.8倍の16haに拡大)や、ドローン・無人トラクターの併用で効率化を図る地域(例:北海道岩見沢)があります。
  • 技術面では、農業用ドローン(空中散布や水田での直播)、GPSを活用した無人トラクター、自動化・遠隔監視、そして高温耐性の新品種開発や乾田直播(乾いた田への直播)といった栽培法の導入が重要になります。

現場で進む具体的な取り組み

ドローンの導入と活用法

福島の事例では、水を張った田んぼに種を直接まくことができる農業用ドローンを導入し、播種や肥料・農薬の空中散布に活用しています。機体やライセンス取得などで概ね400万円程度の初期投資が必要ですが、作業員1名分の人件費を上回る効率化や、将来的な空撮による生育モニタリングなど複数の用途が期待できます。

無人トラクターとICT連携

北海道岩見沢では、地域の研究会を中心にGPSを利用した自動運転(無人トラクター)と有人トラクターの併用が進み、ドローン散布と組み合わせた効率化で農地拡大につなげています。無人機の導入により作業負荷を低減し、余った労力をほかの管理業務や営農拡大に振り分けています。

品種改良と気候変動対策

道立の研究機関では令和6年度から高温耐性品種の研究開発を開始しています。一般的に交配から新品種の承認まで約10年かかりますが、既存の高温耐性品種を交配素材として利用することで、従来より短期間で有望系統が得られる可能性が出てきています。高温耐性は近年の気候変動下で極めて重要な性質です。

栽培法の革新:乾田直播(かんでんちょくは)

水を張らない乾いた田に直接種を播く「乾田直播」は省力化とコスト低減の面で注目されています。宮城県では乾田直播の作付面積が全国で2位の規模を誇り、5ヘクタール以上を対象に10アール当たり2,000円以内の補助を支給しています。乾田直播は除草や初期生育管理の工夫が必要ですが、労力と水管理の観点で大きなメリットがあります。

導入を検討する農業経営者へのチェックリスト

  • 経営規模と作付構成の見直し:増産方針に合わせた面積拡大の採算性を試算します。
  • 適地適技術の選定:乾田直播、ドローン播種、無人トラクターなど、それぞれの田んぼ条件(排水性、地力、圃場区画)に応じて選びます。
  • 初期投資と補助制度の確認:ドローンや無人トラクターの補助、地域の実証プロジェクトや共同利用制度を活用します。
  • 人材と教育:操縦・運用ライセンス、農薬空中散布の法規、データ解析スキルなどの研修を計画します。
  • データ連携と管理:空撮・生育データ、作業履歴を活用するためのプラットフォーム選定と帯域確保(通信インフラ)を検討します。
  • リスク管理:機器故障、飛行・運転事故、気象リスク、種苗・市場価格の変動に対する対策を立てます。

アグリテック開発者・投資家が注目すべきポイント

  • サービス化(AaaS:Agriculture-as-a-Service)の機運:機器購入の負担を和らげるリースやシェアリング、受託作業の需要が拡大します。
  • 農業用ドローンの多機能化:直播・散布・高解像度空撮・センシング(NDVIなど)を統合するプラットフォームの需要が高まります。
  • 自動運転と安全規格:無人トラクターの導入が進むには安全対策、標準化、保険・責任ルールの整備が重要です。
  • 育種支援とデータ駆動:高温耐性などの品種開発を加速するためのゲノム情報管理、フィールドデータ連携サービスに投資機会があります。

政策担当者に向けた示唆

政府の増産方針を現場で確実に実現するためには、単なる面積拡大支援にとどまらず、以下の施策が必要です。

  • 技術普及と人材育成の強化:操作ライセンスやICT活用研修、地域のデモ圃場支援を拡充します。
  • 補助と事業スキーム:初期投資支援、共同利用インセンティブ、農業サービス事業の育成支援を行います。
  • インフラ整備:農村の高速通信や位置情報サービス(RTK基地局など)の整備を進めます。
  • 品種承認の迅速化と多様化支援:気候変動対応品種の審査・普及を加速させる枠組みが求められます。

まとめ:現場主導の「実装」が増産の鍵

政府のコメ増産方針は明確になりましたが、現場での実装が伴わなければ実効性は低くなります。すでに現場ではドローンや無人トラクター、乾田直播といった実践的な取り組みが成果を出しつつあります。農業経営者は自らの圃場に最適な技術とスキームを選び、JAや自治体、民間サービスと連携して導入を加速することが重要です。アグリテック事業者や投資家、政策担当者は、現場の課題解決を前提としたビジネス・支援モデルを早急に整備する必要があります。

増産の成否は「技術をどう使い、どう運用するか」にかかっています。今がスマート農業を実装する絶好のタイミングであり、現場と技術者、行政が連携することで持続可能な供給力の強化につながるはずです。

詳しい記事の内容はこちらから(引用元)

ドローン、無人トラクター、品種改良、新農法…政府のコメ増産方針に備え農家も本気(産経新聞) – Yahoo!ニュース
https://news.yahoo.co.jp/articles/2e6797f6626106e88bf7f55c0d5b331637593dc0?source=rss

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